んどあの壁へ人柱を塗りこんでは――という、この相談も持ちあがりましたようなわけ――」
六
何を思ったか対馬守は、大声に笑い出して、
「こんどのこの造営に際して、その問題の護摩堂の北側の壁へ、生きた人間を人柱に塗りこめねばならぬ……と言い出したのは、いったい誰じゃ?」
別所信濃も主水正も、答えません。
シンと無気味な静寂が、この狭い密室に落ちる。
「昔から人柱は、言い出した者へ当たると申すことだぞ。主水、お前ではないか、さようなことを言いはじめたのは」
ギョッとした主水正、このあいだ妻恋坂の司馬道場で、峰丹波に斬りつけられたときよりも、もっとあわてて、
「ト、とんでもない! 私がなんでそのようなことを!」
と、両手を眼の前に立てて、しきりに手を振る。
じっとみつめていた対馬守、意地の悪そうな微苦笑とともに、
「ソラソラ! その手が、壁を塗る手つきにそっくりじゃ。どうも主水、この人柱は其方《そち》へ落ちそうじゃぞ」
主水は真《ま》っ蒼《さお》になって、
「ジョ、冗談じゃありません」
と、ピタリと両手を膝へおろしてしまった。
これには、別所信濃守も微笑しな
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