思い出しながら、
「御公儀が、この二十年目ごとの日光お直しを思いつかれたのは、それからじゃそうな」
「ハッ、まさにそのとおりで」
あとを受けついだ主水正は、指を折って数えて、
「正保《しょうほう》二年、承応三年、寛文四年九月、延宝七年……と、ちょっと数えましても、実におびただしい御修覆の数々。ところで、そのいずれの場合にも、まずいちばん先に損じてお手入れの必要を生ずるのが、いつもきまってあの護摩堂の北側の壁――」
「こんどもそうだということです。で、日光役人はたえずその護摩堂の北側の壁に気をつけておって、そこが破損しかけてくると、いよいよ他の部分も大々的につくろいをほどこさねばならぬ時期が来たことを知り、ただちに江戸表へ具申して、そこで、あの、城中大広間の金魚|籤《くじ》となり、そのときの造営奉行をとりきめるという、こういう手順だそうで」
「実に面妖な話じゃ」
対馬守の眼が、キラリと光った。
三人をつなぐ、三角形の中点に置かれた燭台ひとつ、そのうつろいをうけて、三つの顔は、赤鬼青鬼の寄りあいのよう……。
「なにかあの護摩堂の北側の壁に、たたりでもあるのでは……」
「サ、そこで、こ
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