の件その他に、この日光造営にはいろいろと秘密が多かったところから、奉行所には、かならずこうした密室が一つ二つ造られたもので。
「それでは――」
と言いかけて、ものおじしたように他の二人の顔を交《かた》みに見くらべたのは、お畳奉行別所信濃守。
蒼白《そうはく》の額に、深い縦じわをきざんで、暗く沈んだ声なのは、よほどの重大事を議しているらしい。
かすかに眼を上げて、別所信濃の言葉の先を待っている二人とはいうまでもなく、柳生対馬守と、家老田丸主水正。
何やらものものしい空気が、その、しめきってムッとする室内に、こもっています。
「護摩堂《ごまどう》の壁へ――という話であったが――?」
「は」
主水正と対馬守は、チラと眼をかわしたが、すぐ対馬守が、ひとり言《ごと》のようにつぶやきつづけて、
「かの有名なる寛永の御造営は、永久の策としてもろもろの計画があったのじゃったが、完成のあかつき、その結果はすべて裏ぎられて、そののちたびたび修繕を加えねばならぬこととなったのじゃ」
と対馬は、こんどこの、日光をお引き受けするについて、家臣を督《とく》して調べさせた日光修覆に関する文献をボツボツと
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