、主水正の姿を探す。
「こうお山開きに手間どっては、お事始めは棟梁《とうりょう》だけ登山させて、式をあげるんでございましょうか」
他の一人が、誰にともなく大声に、
「もう組分けは、すみましたかな? すんだら一|遍《ぺん》勢ぞろいをして、顔を見おぼえておかんことにはつごうが悪いテ」
「御家老殿も、先刻そのようなことをおっしゃっておられた。いちおう田丸どのにたずねらるるがよい」
「田丸様はただいまどちらに?」
「サア、殿の御前じゃろう」
と、言いすてて、一人はいそがしそうに行ってしまう。
この、組分けと申しますのは……。
いろは[#「いろは」に傍点]の仮名文字で組を分けて大工二十五人に棟梁二人、諸職《しょしょく》五十人、雑役三十人、合わせて百七人を一組と定めて、これを印をつける。
塗師《ぬし》、錺《かざり》職人、磨師《みがきし》、石工《いしく》なども二十五人一組の定めであった。むろん一同は山へ上がったが最後、頭《かしら》だったものは町小屋、諸職人は下小屋《したこや》に寝とまりして、竣工《しゅんこう》まで下山を許さないのです。
もし工事中に、これらの者の家郷《かきょう》に不幸があ
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