に白布《はくふ》一反ずつ長尺《ちょうじゃく》に織りあげさせ、布《ぬの》の端にその村の地名を書き、それぞれ役人があずかりおいて、命令によってただちに駅送《えきそう》する。こうでございましたな? 実にどうもややこしいかぎりで……ところで、お関所のお手配は?」
三
今この主水正の言った、お関所というのは。
日光|御作事中《ごさくじちゅう》、仮りにこしらえるもので。
このときは、並木本村《なみきもとむら》、下幸村《しもゆきむら》、鹿沼新田《かぬましんでん》の三か所に、御造営中あらたに関所を設け、お先手衆《さきてしゅう》ひと組ずつ年《とし》番で勤めたものです。
この制度は、箱根、笛吹《ふえふき》両関所に準じ、出入りとも手形割符を照らしあわせて、往来《ゆきき》を改める。
なかんずく。
五貫目以上の荷物は、たとえ官のものとはいえども、その品を改めるのが例定になっておりました。
山王わきの普請奉行所には、正副両造営奉行を取りまいて、昼夜を分かたず、評定やら、打ちあわせやらに、眼のまわるようないそがしさ。
書物役《かきものやく》が筆を耳にはさんで、広間をウロウロしながら
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