かった役目というのが。
あろうことか、藩主対馬守に化けこんで、今朝《けさ》のこの源三郎対丹波の真剣勝負に立ちあうこと。
「余の顔を知らぬのだから、大丈夫だ。大名らしくふるまえばよい。そちなら勤まるであろう」
と対馬守がおっしゃった。
そのつもりで、いい気持になって来ている主水正、せいぜい一藩のあるじらしくかまえこんで、
「丹波とやら、マ、マ、立つがよい。今は、正式に眼どおりさし許しておるという場合ではない。余は、単なる判定者の資格でまいっておるのじゃ。余と思わず、一剣士と思うて、目礼だけにとどめておいてもらいたい。そうでないと、余が困る、うむ、余が困る。アッハッハ」
呵々大笑《かかたいしょう》しました。相当なものです。
立会人に、あの丹下左膳でも飛び出してくるのでは?……と、おっかなビックリでいた峰の先生、その左膳の上をゆく柳生対馬守があらわれたのですから、もうなんといってもこの試合を、のがれるすべはありません。
蒼白に顔色を変えて、
「大先生のお立ちあいとは、身にあまる光栄――」
と言ったが、よほど身にあまるとみえて、全身ががたがたふるえている。
二
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