び出してくるのでは……?」
 丹波にとって、丹下左膳は伊賀の源三郎以上のにがて。
「アッ、そうだ! そうかもしれん。あいつがいることを思いつかなんだ。これはまったく、ことによったら事によるかもしれん。ウーム、とんだ藪蛇《やぶへび》!」
 顔色を変えているところへ、
「おしたくがよろしければ――主人がお待ち申しておりまする」
 いやなことを言って、源三郎のほうから使いが来た。
 もう、やむをえません。
 こうなると、さすがは峰丹波。スッパリと覚悟ができてしまった。あばれるだけあばれたうえで、機を見て逃げ出すだけのことだ!
 たち上がった丹波、ふるえる手で袴のももだちを取りながら、白足袋のまま、明るい光のみなぎる庭へ下り立った。
 肩をそびやかし、左手にさげた愛刀の鯉口《こいくち》を切って、足ばやに庭の隅へ――。
 眼くばせした門弟達は、まるでお葬式に列するようにうちうなだれてゾロゾロつづく。
 もと弓場のあったあとです。そこだけ立ち木がひらいて、地面にはバラッと砂がまいてある。
 濃い影を土に落として、むこうの隅にガヤガヤたち騒いでいる伊賀の連中の中から、着流しに懐《ふところ》手をした源
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