伊賀侍のしわざにきまっている。
伊賀の暴れん坊……柳生源三郎の使者《つかい》。
峰丹波、手のふるえを部下に見せまいと努めながら、文《ふみ》をひらきました。
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「近くお礼に参上すべしと先刻申し上げしとおり、明朝、当屋敷内の道場において、真剣をもって見参つかまつりたし。いつまでかくにらみ合っておっても果てしのないこと。峰丹波殿と拙者源三郎と、明朝を期し、白刃の間にあいまみえ、いずれがこの道場の主人《あるじ》となるか、力をもって、即刻決定いたしたき所存……云々《うんぬん》」
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と、こういう意味の文言《もんごん》。
読み終わった丹波は、サッと変わった顔色を一同にけどられまいと、じっとうつむいて考えこむふり。
怖れていたものが、来たのだ、とうとう。
心配気な顔、顔、顔が、前後左右から、丹波をとりまく。
弱味は見せられない立場です。
「かつて知らぬ刃《やいば》の味、それを一度、身をもって味わうのも、イヤ、おもしろいことであろう」
変な負け惜しみだ。丹波は、そう謎のようなことを口ずさんだが、その心中は悲壮の極《きょく》です。斬られる覚悟。
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