鶏《くいな》についだまされて……月に恥ずかしいわが姿……なんてことをおっしゃいましたッてね」
武骨者ぞろいの道場には、ちょいと珍しい渋い咽喉《のど》を聞かせて、そのまま、ガタン、ピシャッ! 戸をしめようとすると、その雨戸のすき間に、つぶされたようにはさまっているものがある。
「なんだ、これは……」
その、半分ほど座敷のほうへしめこまれているものを、足もとをすかしてよく見ると……。
姫ゆりの花。
風流です――と言ってはおられない。何者がなんのために、この部屋の外へ、姫ゆりの花などを持って来たのか?
しかも、庭から忍んで。
不知火の門弟一同、さっと丹波の顔へ眼を集めた、指揮を求めるように。
「左近、もう一度雨戸をあけて、その花を取ってみるがよい」
そこで左近が、また雨戸の桟《さん》をはずし、一、二寸戸を引いて、すき間からその姫ゆりを抜き取ってみますと……果たして、茎に、一枚の紙片がむすびつけてある。
誰かが庭づたいに来て、これを雨戸のすきへ押しこめたのち、ドンと戸をたたいて逃げて行ったのだ。
どこから?――などと、きくだけ野暮。
この庭のむこうに対峙《たいじ》している、
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