が、まるまっちい膝をならべて啖呵《たんか》を切りだしたんだから、お蓮様はびっくりして、
「なんだい、おまえは! 子供芝居の太夫かい。ひっこんでおいでよ」
「ひっこんでいろうたア、こっちで言いてえこった。お美夜ちゃんはあっしの許婚者《いいなずけ》なんだ。そのあっしに一|言《ごん》の挨拶もなく、お迎《むけ》えの駕籠が聞いてあきれらア。さっさと消えやがれ!」
「そうだそうだ、安! これはおいおいとおもしろくなってまいったぞ」
泰軒《たいけん》先生、手をたたいてけしかけている。
たたく水鶏《くいな》
一
夜。
ただいまでいう十二時。
床脇《とこわき》の壁に、真っ黒な大入道がうごめいている……と見えたのは、峰丹波の四角な影。
「ウーム、不死身というのか、なんというのか、実にどうもおどろいたやつじゃ。あの、水の充満したはずのおとし穴を、いかにしてとびだしてきたものか――」
と丹波のひとり言《ごと》。峰丹波の腕組み。丹波の思案投げ首です。
ここは。
妻恋坂なる司馬道場、不知火組のいすわっている広間だ。
このあいだの夜、鎧櫃《よろいびつ》からとびだした丹下左
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