じっとお爺ちゃんの顔を見あげています。
恩愛と、生死を賭けた芸術心との、二|筋道《すじみち》……。
石のように動かない作阿弥、かすかに口をひらいて、主水正へ、
「大岡……大岡越前守か。うむ、いつぞやこのお美夜|坊《ぼう》が、大岡どののお屋敷へお届けものをして、じきじきにお目どおりを許されたさい、これの口《くち》から越州殿《えっしゅうどの》にも、お願いしてあるはずじゃが……」
と、ハッと心づいたように、
「ウム、そうじゃ!――頼みがある。対馬守様に、お願いがあるのじゃ。聞いてくだされ。これ、ここにおるチョビ安という者は、貴殿の御藩、伊賀国柳生の里の生れだそうじゃが、父も母もわからぬもの。こうして江戸へまいって、幼い身空で世の浪風にもまれておるのも、その、顔も知らぬ父母をさがし当てんがため。そこで田丸氏、願いというのはほかではない。貴藩の手において、このチョビ安の両親をさがし出してはくださらぬか」
六
「同じ伊賀なれば、さだめし、チョビ安の両親を知る者も、ないとはかぎらぬ。藩中に広く手をまわして、おたずねくださらば、思わぬ手がかりもつくであろうが」
作阿弥の言葉に
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