あったお品々じゃ」
「サ、それらをしたしく御覧になれようというもの。そのうえ、腕にまかせて神馬《しんめ》をお彫りなされば、それらの名品と肩をならべて、世々生々《よよしょうしょう》伝わりまするぞ、作阿弥殿……サおむかえの駕籠《かご》が、まいっております」

       四

「さすがは柳生じゃ。世を捨てた名人を探しだして、一世一代の作を残させるとは、このたびの日光造営は、おおいに有意義であった。その作阿弥の神馬とともに、柳生の名も、ながく残るであろう……と上様からおほめ言葉のひとつも、いただこうというもので」
 ここを先途《せんど》と主水正は口説《くど》きにかかる。
 作阿弥はじっと眼をつぶったまま、身動《みじろ》ぎもしない。
 その小さな老人のすわった姿が、この狭い部屋いっぱいにあふれそうに、大きく見えるのは、彼の持つ技《わざ》の力が、放射線のように、にわかに炎々《えんえん》と射しはじめたのであろうか。
「わしに、馬を彫って、後世へ残せという……」
 口のなかで噛むように、作阿弥は、そうひとことずつ句ぎってつぶやきながら、そっと眼をあけて泰軒先生を見やった。
 どうしたものであろう―
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