したというんですイ?」
チョビ安はまるい眼をキョトキョトさせて、作爺と泰軒|居士《こじ》へ、交互《たがい》に問いかけた。
二人とも、答えない。
見向きもしない。
それどころではない……といった一種切迫した空気が、室内にたちこめて。
お美夜ちゃんとチョビ安の帰って来たことさえ、人々の意識にないようす。
それよりも今。
まるで別人のような、急激な変化を見せているのは、この家《や》の主人《あるじ》作爺さんこと作阿弥《さくあみ》である。平常《ふだん》は眠っているのか、さめているのかわからない眼が、かっと開き、いきいきと燃えあがって、いつも草鞋《わらじ》の裏のように生気のない顔が、今は何ものかに憑《つ》かれたかのように、明るいかがやきをともしているのだ。
病《や》みほうけたからださえシャンとなって、スウッと肩をのばし、端坐《たんざ》の膝に両手を置いた作阿弥、主水正の言葉をツとさえぎって、夢みる人のように言いだした。
これはもう、トンガリ長屋の作爺さんではない……当代に名だたる名木彫家《めいもくちょうか》作阿弥の、芸術心に燃える姿。
「さよう――だが、お話の開山上人の薬師仏は、二
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