とえ》に、算盤絞《そろばんしぼ》りの三尺を、ぐっと締め、お尻《しり》の上にチョッキリ結んで、手拭を吉原かぶり、わざと身幅《みはば》の狭いしたてですから、胸がはだけて、真新しい白木綿《もめん》の腹巻が、キリッと光って見えようというもの。
工面《くめん》のいいときのあのつづみの与の公が、よくこんな服装《なり》をして、駒形から浅草のあたりをおしまわっていたものですが、今のチョビ安、まるであの与吉の、人形みたようだ。
それが、意外な恰好に鉦《かね》を持って、拍子おもしろくチンチンたたきながら、
「エイお立ちあいの衆! 焼野《やけの》のきぎす夜の鶴、子を思う親の情に変りはねえが、親を思う子の情は、親のねえ子ではじめてわかるものだ。孝行をしたい時分に親はなし、石に蒲団は着せられずとか、昔からいろいろ言ってあるが、こりゃあ親が死んでしまってから、はじめて親の恩を知る心を言ったもので、おいらなんざア自慢じゃアねえが、生まれ落ちるとから、親の面《つら》ッてものはおがんだことがねえんだ。ここにいるこのお美夜《みや》ちゃんも、お母《っか》さんがどこにいるかわからないんだよ。おいらの両親《ふたおや》は、伊
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