ナニ? そうか。イヤそうだろうと思った。伊賀の暴れん坊とも言われるあの若君にかぎって、丹波などの奸計《かんけい》におちいるお方ではないのだ。それはめでたい、めでたい。すぐさまお迎えに!」
「そうだ、お迎えだ! お迎えだ!」
こうなると、知らせてくれた三|方子村《ぼうしむら》のお露は第一の殊勲者、伊賀侍の眼には、救いの女神とも映るので。
「婦人の身をもって、早朝から遠路まことに御苦労でござりました。サ、サ、まずおあがりなされて」
「コレ、大恩人じゃ。粗相があってはならぬぞ。お座蒲団を持て。誰かある、お茶を――」
「はッ、粗茶ながら、ひとつお口湿《くちしめ》しを……」
と急に、下へもおかぬもてなし。
何が何だかわからないお露、手を取らんばかりに引き上げられて、床の間の前の上座へすわらせられてしまった。
きっと騒動が持ち上がるに相違ないと、それを楽しみに、駈け込み訴えのように飛んで来たのに、その目算《もくさん》はガラリはずれて、一同は涙ぐむほどの感謝ぶりだ。
「では、さっそく貴殿方《きでんがた》へ出向いて、源三郎様と萩乃さまをこちらへお迎え申す。殿がお帰りになれば、またお言葉も下《さ
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