》は見つからぬワ、という御当家にとり危急存亡の場合、ともかく、このお庭隅に一夜づけに埋ずめました金銀を掘り出しまして、さっそくの御用にあい立てましたほうが、策の得たるものかと存じまして――」
 対馬守は、不機嫌に黙りこんだ。
 これは主水正の言うとおりで――将軍吉宗の考えとしても、日光に事よせて、隠してある金を使わせるのが目的。こけ猿がなければ日本一の貧乏藩に、大金のかかる日光を押しつけて、柳生家を取り潰してしまおうというのは、決して本意ではない。
 柳生だって、ない袖は振られぬから、そこで、どんな騒動が持ちあがらないともかぎらない。苦しまぎれに暴れだして、天下の禍根とならないともかぎらない……というので、今になって、いわば救いの手をさしのべたわけだ。
 これは、愚楽老人と大岡越前守の献策。
 いかに剛情我慢の対馬守でも、今の場合、これをこけ猿によって得たもののごとくよそおって、掘り出さざるをえない。
「いつもながら上様のおこころ配り、行きとどいたものじゃ。ありがたいかぎりじゃテ」
 苦笑を浮かべてつぶやいた対馬守は、やがて、声をひそめて、
「そこで田丸、真《しん》のこけ猿じゃが――ま
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