ろうとは!
 石川左近将監の家来一統は、白い砂浜にごまを散らすように、バラバラバラッと――。
 宰領の竹田が、血煙たてて倒れたのですから、もう壺どころのさわぎではない。
 お壺の駕籠をそこへおっぽりだしたまま。
 雲をかすみ。
 みごとな黒塗りのお駕籠が、砂にまみれてころがっている。
 走り寄った左膳は、ニッコリ顔をゆがめながら――これがほんとうの思う壺だ。
 手の濡れ燕をもって、バリバリッと駕籠の引き戸を斬り破り、錦の袋につつまれた茶壺を、刀の先に引っかけてとりだした。
 石川左近将監自慢の、呂宋《ルソン》古渡《こわた》りのお茶壺です。
 濡れ燕を砂に突き立てた左膳。
 ひとつきりの左手と、歯を使って、袋の結び目をといてみた。出てきたのは、朱紐《しゅひも》で編んだスガリをかけた、なるほど茶壺には相違ないが、目ざすこけ猿とは似ても似つかない。
 が、左膳はべつに失望もいたしません。
 これがこけ猿の茶壺でないことは、はじめからわかっている。
 こうやって、宇治の茶匠のあいだを往来《ゆきき》する大名の壺を、かたっぱしからおそっているうちには、どういうはずみでか、何者かの手にはいった真のこ
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