だもの。
 が、こうなっても竹田は、自分が今、この千本松原でいのちを落とすことになろうとは、夢にも思いません。
 思わないから、えらい元気で、剣輪のなかの左膳をどなりつけました。
「不所存者めがッ! 石川様のお壺行列へ斬りこむとは、いのち知らずの大たわけめ、そこ動くなッ!」
 動くななんて言わなくたって、壺を手にしない以上、左膳のほうこそ、金輪際動く気はない。
 数十人の石川家家臣に取りまかれた丹下左膳は、柄《つか》もとまで血によごれた濡れ燕を、左手にぶらさげて、眠ったようにたっている。
 胸がはだけ、裾はみだれて、女もののはでな長襦袢に、さわやかな潮風が吹く。
 いつのまにかはだしになり、脱いだ草履を裏あわせに、帯の横ちょへはさんで、今にもくずれそうにヒョロッとつっ立っているんですから、姿は無気味だが、見たところ、とても弱そう……。
 つい今しがた、これらの人間を斬り捨てた左膳の働きを、もし竹田が見ていたら、もうすこし警戒もし、また他に取るべき手段もあったでしょうが、何しろ行列の先頭にいて、知らないんです。左膳の左膳たるところを。
 倒れている仲間は、あわてすぎて、たがいの剣がふれた
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