ことになったものといわなければなりません。
 それよりも。
 恋する女を友情ゆえに、思いきるばかりか、こうして自分がなかだちとなって、その二人をまとめてやろうとする丹下左膳の心中、そのつらさはどんなでしょう! 四人四様に黒い霧のような心の暁闇。
「ゲッ、おれはなんだって、こんなところに、ぼんやり立って考えこんでいるんだ。ホイ、焼きがまわったか丹下左膳」
 そう思い出したように苦笑した左膳は、
「それじゃア源三、しっかり萩乃さんをかあいがってやれよ。手鍋さげてもの心意気でナ」
 もう、とめるまはなかった。
 病みほうけた源三郎が、片膝おこして追おうとしたとき、白鞘《しらざや》の刀を見るような丹下左膳の姿は、すでに部屋から、小庭から、そして木戸から、戸外《そと》のあかつきの闇黒《やみ》へのまれさっていたのでした。
「ほんとによけいなことをする人! あんなお屋敷のお嬢さんなどを、わざわざ源様のところへ引っぱってきたりなんかして、人の気も知らないで、いけすかないったらありゃアしない!」
 人知れずお露は、唐紙《からかみ》のかげで歯ぎしりをして、泣き沈んだのでしたが、これはたちさってゆく左膳の耳
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