といいます。明け方の闇は、夜中の闇よりもいっそう深沈として――その暁闇《ぎょうあん》につつまれた左膳、源三郎、萩乃の三人は、それぞれの立場で、凝然と考えこんだままだ。
 だが、このほかにもう一人。
 うば玉の暗黒《やみ》よりも濃い心の暗闇に、すすり泣きの音《ね》をこらえている女がひとり――それは、次の間のふすまのかげに、この一伍一什《いちぶしじゅう》をもれ聞いたこの家の娘、お露でした。
 思う源三郎には、自分よりさきに、あんなにあの方をしたっているこの萩乃とやらいう美しいお嬢様がある……と知って、彼女の心は暁闇にとざされたのでした。
 萩乃は萩乃で、こんなにまでしたっている源三郎が、すこしもその愛の反応を見せてくれないのが、まるで、くらやみの山道に迷ったように、こころ寂しい。
 当の源三郎は……。
 たぶんに不良性のある彼のことだ、萩乃にしろ、お露にしろ、女という女には、面とむかえば、おざなりに、すいたらしい言葉の一つや二つは吐こうというものだが、そのすぐあとで、けろりと忘れてしまうのが、この源三郎の常なので。
 女にかけては悪魔的な源三郎。それに思いを寄せるとは、萩乃もお露も、因果な
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