よう。それまでは、何者もこの庭隅に近よることはならぬ。昼夜交替に見はりをいたせ」
 つい一昨年《おととし》まで他人の住まいだった屋敷に、こけ猿の財産が埋ずめてあるなんてエのは、どう考えてもうなずけない話だから、藩士一同、それこそ、お稲荷さまの眷族《けんぞく》に化かされたような形。
 それでも。
 埋宝発見の心祝いに、潔めの式をせねばならぬと言われて、こうして正装に威儀をただし、ズラリと変な顔を並べている。
 屋敷の庭の一隅が、急に聖地になりました。
 一坪の地面に青竹をめぐらし、注連縄《しめなわ》をはり、その中央に真新しい鍬を、土に打ちこんだ形に突きさして、鍬の柄《え》に御幣を結び、前なる三方には、季節の海のもの山のものが、ところ狭いまでにそなえてある。
 田丸主水正、いま前に進み出て……つつしみつつしみて申す、とやったところだ。
 若侍の一人が、となりの袂を引っぱって、
「ウフッ、どうかと思うね」
「こういうてがあるとは、知らなかったよ」
「こんなインチキをしていいのかしら」
 高大之進が振りかえって、
「もろもろはだまっておれ」
 めでたく式は終わって、これから大広間で酒宴に移ろう
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