す。
高大之進をはじめ尚兵館の若侍一同、今日は裃を着て、くすぐったそうに並んでいる。
場処《ところ》は、麻布林念寺前なる、柳生対馬守のお上屋敷。
お稲荷様をまつってある築山のかげ。
きょうはそのお稲荷さまなんか、あれどもなきがごときありさまで、今その祠《ほこら》のうしろの庭隅に、この壮大なお祭りが開かれようとしています。
称して……お鍬祭。
土を掘る縁起祝いだ。
愚楽老人に対面して、急いでお城をさがった主水正、ひそかににせ[#「にせ」に傍点]猿の示した庭の隅へ行ってみるとなるほど、そこが三尺四方ほど新しい土を見せている。たしかにゆうべあたり掘り返して、何か埋ずめてあるらしい形跡。
愚楽老人配下の忍びの者が五、六人、ゆうべこっそりこの邸内へ潜入して、ここに日光の費用を埋ずめ、またあの細工入りの壺を、松の木にひっかけていったというわけ。
今は主水正、すべてが明らかだが、人心の動揺を思っては、これはあくまで先祖の埋ずめたもの、あの壺はどこまでも正真正銘のこけ猿ということに見せかけて、苦しい一時を糊塗せねばならぬ。
「殿の御出府を待って、しかるうえに、お手ずからお掘り願うとし
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