かやき》も青々と、りゅうとした着つけに落とし差しの大小……。
 が、その顔!
 女にしても見まほしいというが、これはまさしく女性の眼鼻立ち! 服装かたちこそ変わっているが、まぎれもないあの、いまの麹町三番町土屋多門の養女となっている、行方不明のはずの弥生《やよい》ではないか。
 それがりんたる若ざむらいの拵《こしら》えで、この青山長者ヶ丸の祭礼へ!
 亡父の姓を取って小野塚|伊織《いおり》と名乗っている男装の弥生、ぼんやりとそこに揚がっている絵看板をふり仰ぐと、劉《りゅう》という唐人|刀操師《とうそうし》の見世物小屋で、大人五文、小人三文――。
「さあサ、いらっしゃアイ!」
 木戸番が塩から声を振りしぼった。
 板囲いに吊るした筵《むしろ》をはぐって、小野塚伊織の弥生が、その刀操術の見世物小屋へ通ると、屋内は大入りの盛況で、むっとこもった人息が弥生の鬢《びん》をかすめる。
 五文の木戸銭は高価《たか》くはないが、芸人は劉ひとり、それも、刀操術などと大きく、武張《ぶば》ったところで、能とする演技は、例の小刀投げのいってんばりだ。
 かたなの手品だけに見物人は男が主《おも》、女子供は数えるほどしかいない中に、恐《こわ》らしい浪人頭がチラホラ見える。
 すっかり武士になりすましている弥生は、臆《おく》せず人をかきわけて前方《まえ》へ出た。
 口上人が、エエ、これに控えまする唐人は劉《りゅう》と申し、天竺《てんじく》は鳥烏山《ちょううざん》の生れにして――なんかとでたらめに並べて引っこむと、すぐに代わりあって、二、三尺高い急ごしらえの舞台へ現れたのが小刀投げの太夫支那人の劉であろうが、弥生をはじめ、一眼見た観客一同は好奇とも恐怖ともつかない声をあげて小屋ぜんたいがウウムとうなった。
 唐人劉。
 みんなはじめは猿かと思った。
 いや、猿にしては大きすぎるが、とにかく、これが世にいう一寸法師か、七、八歳の小児の体躯《からだ》に分別くさい大きな頭がのって、それが、より驚いたことには、重箱を背負ったような見事な亀背であるうえに、頭から胴、四肢《てあし》まで全身|漆黒《しっこく》の長い毛で覆われているのだ。
 平たい顔に、冷たい細い眼、ひしゃげた鼻、厚いくちびる――人間離れのした相貌《そうぼう》をグッと前へ突き出して、腰を二つに折り、長い両手のさきを地にひきずったところ……さながら
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