れてはじめての華やかな舞台へ乗り出して、思うさま血しぶきをたてることができるのだから、誰もかれも、もう眼の色を変えてさわぎきっている。
依頼によって動く殺人|請負《うけおい》の一団。
刃怪丹下左膳を生んだ北国野放しのあらくれ男が、生き血に餓えるけもののように隊を組み肩をいからして、街道の土を蹴立てていくのだ。
陰惨《いんさん》な灰色の天地から、都鳥なく吾妻《あずま》の空へ……。
人あって遠く望めば、かれらの踏みゆくところに従い、一塊の砂ほこり白く立ち昇って、並木の松のあいだ赤禿《あかは》げた峠の坂みちに、差し反《そ》らす大刀のこじりが点閃《てんせん》として陽に光っていたことであろう。
こうして。
破門された各務房之丞、山東平七郎、轟玄八以下三十名の剣星と、自らを破門してそれを率いる師軍之助と、月輪一刀流中そうそうの容列、〆《し》めて三十一士であった。
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相馬中村は小さくなって通れ
鬼の在所じゃ月の輪の
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……無心な童児《わらべ》の唄ごえにも、会心の笑みをかわす剣気の群れ――東道役は言わずと知れた駒形の兄いつづみの与吉だが、与の公、このところ脅かされつづけで、かわいそうにいささかしょげてだんまりの体《てい》だ。
第一、言葉がよくわからない。
「こンれ! 汝《にし》ア、江戸もんけ? 江《え》ン戸《ど》は広かべアなあ」
「はい。まことにその、結構なお天気さまで、ヘヘヘヘ」
「江戸さ着《ち》たらば、まンず女子《おなご》を抱かせろ。こンら!」
「どうも、なんともはや、相すみませんでございます」
「わっハッハッハ!」
とんちんかん、おおよそかくのごとく、口をきくたびに意思の疎通《そつう》を欠く恐れがあるし、江戸では見かけたこともない厳《いか》つい浅黄うらばかりがワイワイくっついているので、小突かれた日にぁ生命があぶない。さわらぬ神にたたりなしと、与吉は苦しいのを我慢して無言のまま、先に立って今度は水戸街道を加島、原町、小高、鷹野、中津、久満川、富岡……。
ここから木戸まで二里の上《のぼ》りにかかる。
はじめ、お下館《しもやかた》へさげられてゆっくり休んでいた与吉を、朝早く宿直《とのい》の侍が揺り起こしたのだった――。
援軍の仕度ができたから町外れの道場へ……といわれて、案内につれ、月輪方へ出向いてみると。
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