あけ六つの太鼓が陽に流れて、ドゥン! ドーン! と中村城の樹間に反響《こだま》しているとき。
異様な風体の武士たちが三々|伍々《ごご》のがれるがごとく人目をはばかって町を離れ、西南一の宿の加島をさして、霜にしめった道をいそいでいた。
そろいもそろって筋骨たくましい青壮《せいそう》の侍のみ。
それが、一同|対《つい》の鼠いろの木綿袷《もめんあわせ》に浅黄の袴、足半《あしなか》という古式の脚絆《きゃはん》をはいているところ、今や出師《すいし》の鹿島立ちとも見るべき仰々《ぎょうぎょう》しさ。
胆をつぶしたのは沿路の百姓、早出の旅の衆で、
「うわアい! 新田《しんでん》の次郎作どんや、ちょっくら突ん出て見なせえや! いくさかおっ始《ぱじ》まっただアよ」
「ヒャアッ! 相手は何国《どこ》だんべ?」
「あアに、この隣藩の泉、本多越中《ほんだえっちゅう》様だとよウ!」
などと、なかには物識り顔をするものもあってたいへんなさわぎ……月輪門下の剣団《けんだん》、進軍の先発隊と見られてしまった。それほどの装《よそお》い、決死の覚悟、生きて再び故山の土を踏まざる意気ごみである。
が、なんのために腕を扼《やく》して江戸へ押し出すのか?
同門の剣友、隻眼隻腕の丹下左膳を救うべく!
それはいいが、左膳が何にたずさわり、そしていかにして危殆《きたい》に迫っているのか? したがって自分らは左膳に与《くみ》してどんな筋に刃向かうのか、敵は何ものなのか、そもそも何がゆえに左膳は戦い、またじぶん達もそれに加勢して、話に聞いた江戸で、この殺刀の陣を敷かなければならないのか?――かんじんのこれらの点になると、大将株の月輪軍之助をはじめ、皆の者、いっさい一様に文字どおり闇黒雲《やみくも》なのだ。しかし!
そんなことはどうでもよかった。花のお江戸へ繰りこんで、好きなだけ人が殺せると聞いただけでこの北の荒熊達《あらくまたち》は、もうこんなに悦び勇んでいるのだった。
幸か不幸か太平の世に生まれ合わせて、いくら上達したところで道場の屋根の下に竹刀《しない》を揮うばかり……。
まれに真剣を手にしても、斬るのは藁人形かせいぜい囚人《めしうど》の生《い》き胴《どう》が関の山。
駒木根|颪《おろし》と岩を噛む大洋の怒濤とに育てあげられた少壮血気の士、いささか脾肉《ひにく》の嘆にくれていたところへ、生ま
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