うに押しならんで、心細そうなようすだった。それとも[#「それとも」はママ]うつむいてめいめいの手をみつめていた。
 一空さまと木場の甚が丁寧にあたまをさげ合った。お高も、それで気がついて、木場の甚に挨拶した。
 むこうを、遊び人風の男につれられた若い女が、町内の多勢《おおぜい》にかこまれて何か慰められながら、泣き泣きお白洲《しらす》から下がって来た。おもてには、御門番と争う大声がしていた。六尺を持った同心や、書類をかかえた与力たちが、袴《はかま》を鳴らして右往左往していた。あわただしい奉行所の真昼だった。
 お高は、控え所の窓へ眼をやった。窓のそとには、白い空があった。雲の峰が立っていた。それは、すくすくと高い雲の峰であった。お高は、何の形に似ているかしらと思って見ているうちに、その雲の峰が非常にいい兆《しるし》のように思われて来て、じぶんの一生と、じぶんの中に発育しつつある小さないのちの前途が、このうえなくかがやかしく約束されているような気がした。[#「気がした。」は底本では「気がした」]お高は、こころの奥で掌《て》を合わせて、雲の峰を拝んだ。
 ふと振り返ると、若松屋惣七も、その雲
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