かけに、木場の甚が来ていた。お調番所へ名前を通して、ここで待っているのだ。呼び出しを受けて、続々|関係《かかりあい》一同があつまって来る。
若松屋惣七、龍造寺主計、おせい様、一空和尚につれられたお高、お駒、お駒の父の久助などが急に召し出しを受けて、みな不審そうな顔をあつめて、黙りこんでいた。重々しい空気に押されて、ひそひそ話もできかねるのだ。
お高は、小石川の上水へ身を投げたのが、金剛寺門前町の和泉屋の者に助けられて、一空さまのところに届けられていたのだ。そこへ、南の奉行所から差し紙が来たので、一空さま差し添えで蒼《あお》い顔を見せていた。
ちらちらと若松屋惣七のほうを見ると、若松屋惣七は、血の黒く固まった眉間の傷を見せて、何か低声《こごえ》に龍造寺主計と話しこんでいた。ふたりは、ちょっとにしろ、斬ったり斬られたりしたことなどはけろりと忘れて、もと以上に親密になっているようすだった。
龍造寺主計は、一番平然としていた。何事もなかったように、ちょいちょいお高を見て、その鬼瓦《おにがわら》のような顔をしきりにほほえませていた。
おせい様は、お駒といっしょに、久助を左右からはさむよ
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