いようでもあり、よくも悪くもならんでもあり――龍造寺殿の顔ぐらいははっきり見えるよ。ときに、だいぶ繁盛のようじゃな」
「来るくるといって来んもんだから、いかが致したかと思っておった。後刻ゆるゆるとそこここ見てもらいたいし、その後の商売の模様など、話はいろいろ積もっておる」
 二人は、久しぶりに会った兄弟のような気もちに、とけ合って行っていた。龍造寺主計の案内で、若松屋惣七は、具足屋のうちからそとからそこここ見てまわって、その後の商売の模様などいろいろと話し合った。
 帳面の上では非常なもうけになっているのだが、つい最近まで兄の借金が残っていて、そっちのほうへまわしていたため、このごろになって具足屋は、やっと龍造寺主計の身銭《みぜに》から離れて、家だけの財政として独立したかたちになっていた。大変なはやりようで、食事どきには広い台所の板の間に膳部がならび、いつ見ても、草鞋《わらじ》を脱いだりはいたりする人が、二、三人も四、五人も土間のあがり口に腰かけていた。
 帳場の奥の部屋へ通ると、若松屋惣七はあらためて龍造寺主計に礼をいった。武士上がりで今は、旅籠屋《はたごや》の主人という、変わった経
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