ど手前にはまだわからぬところがございます」
「何がためにさような手品を考案いたしたか、また、何ものが都合よく火を失したか、この二点であろうがな」
「御意にございます」
「ついでじゃ。いって聞かそう。一に、その志《こころざし》を罰し、災《わざわい》を事前にふせぎ、世の禍根を除くため、であろうと、まず推測いたすな。縁を絶たれた名ばかりの妻も、若後家となって、良縁を求めて再嫁することもできるによって、まず、このほうも人助けかな」
 木場の甚も、そばで黙ってきいてきた伊吹大作も、いつのまにか平伏しているのだ。
 忠相は、庭の木もれ陽に眼を細くしながら、ひとり言のようにつづけて、
「が、火事は放《つ》け火であるぞ」
 うめくようにいった。木甚はいっそう平たくなって、
「申しわけございませぬ。やり過ぎましたでございましょうか」
「火事は、放け火であるぞ」
「はっ」
「放け火は重罪。家財没収、家は没落じゃ。磯屋五兵衛の遺産いっさい、家屋敷、有り金、蔵の品、すべて取り上げるがよい」
「あの、磯五が放け火を――」
「さようじゃ。小屋に火を放ったのは磯五である」
「はい――して、その、お召し上げになりまし
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