二階で、お駒ちゃんを相手に猛烈な稽古をつけていった。稽古といっても、手品の部分は、日本一太郎のあたまの中にあることなので、お駒は、そのなかの踊りだけ受け持てばいいのだった。が、その踊りがまた大変なもので、踊りの心得のないお駒ちゃんには、骨が曲げられるような苦しみであった。
が、十日もすると、お駒ちゃんの差す手抜く手がすっかり板についてきて、そのたっぷりしたからだで、見事な線をつくり出すようになった。
それは、日本一太郎とお駒ちゃんと、両方の円精《えんせい》から生まれたものではあったが、いわば、もとからお駒ちゃんの身についていたものであった。お駒ちゃんは、舞踊の才能を多分に持ちながら、じぶんでも気づかずにきたというわけだった。それを、この偶然の機会から、日本一太郎とお駒ちゃん自身と、ふたりで掘り出したというわけだった。
「おめえの踊りは大したものだよ」
日本一太郎は、破れ三味線の手をやすめて、木更津屋の壁にもたれてうっとりとしながら、よくこういった。その壁は、雨もりのあとが不思議な模様のように見えていて、どうかすると、一寸法師のような形をした、灰いろの蕈《きのこ》が一面に簇生《ぞく
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