た五右衛門風呂がすえてあった。焚き口に火がとろとろ燃えて、けむりがいぶるので、浴室の内部には、天井から壁板から、長年の層で黒光りに光っていた。
三
お駒ちゃんが思い切りよく着物を脱ぐと、白い膚がいっぱいにひろがって見えた、お駒ちゃんは、女同士ではいっているように、日本一太郎のまえにあけすけな態度なのだ。男のように手ぬぐいを肩にのせて、乱暴に湯槽《ゆぶね》をまたいだ、うす暗い中に、湯にぬれたお駒ちゃんが光ってほつれ毛を気にして、指をぬらしてはなでつけていた。上気した、ぼんやりした顔をして、洗う手を休めて考えこんでいることが多かった。
日本一太郎は、そうしているお駒のうしろに取っつくようにして、背中を流し出した。
「あれ、いいのですよ」
「なに、男の垢《あか》をつけておくことはない」
日本一太郎がそういって、構わず洗い出すとお駒ちゃんは、いやな顔をして、泣き出しそうな声になった。
「ほんとにいいのですよ。じぶんで洗えますから」
「なに、おいらは、じぶんがしてもらいてえことは、先に人にするのだ。ははははは、この代償に、おいらも一つ、おめえに背中を流してもらおうと思ってな
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