ら」
「三年だ」
「早いものだねえ」
「早えものさ。三年は三年でもおれとおめえが、あの田川《たがわ》の娘芝居に一座して、信濃路《しなのじ》を打ってまわったころとは世の中も変わったぜ」
「あいさ。世の中も変わったか知らないけど、あたしも変わったのさ。変わらないのは、おじいさんばかりだよ」
「こいつあ耳に痛えや。相変わらず娑婆《しゃば》の場ふさぎといいてえところだ。あれからどうしたい?」
「おじいさんこそどうおしだえ」
「おいらか。おいらは――ま、おめえこれからどこへ行くのだ」
「どこへ行くといって、ここへ行きますという当てはないのだよ。ただこうやって町を歩いているのだもの」
 日本一太郎が、はじめてお駒ちゃんのみすぼらしい服装《なり》に気がついたように、改めて、まじまじとお駒ちゃんを見直すと、お駒ちゃんは、ほろ苦く笑って、袂でからだを包むような恰好をした。
「女の子がきたないなりをしているときに、そんなに見るもんじゃないよ」
 日本一太郎の端麗な老顔を、同情のいろが走りすぎて、お駒ちゃんを促して藤代町のほうへまがりながら、
「ちげえねえ。田川の一枚看板のお駒太夫が、そのぱっとしねえありさ
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