、馬鹿々々しそうにきいた。お高も、馬鹿々々しいような気がして、笑い出してしまった。
「まだ当分かかるようでございますよ」
「そうだろう。十年や二十年はかかるだろう」
 若松屋惣七は、苦々しそうにいって、ぷいと横を向いた。若松屋惣七が不きげんになると、お高はやはり悲しい感じがした。


    黄金《こがね》への道


      一

「ふうむ、その財産とやらを、わしに保管させてはくれぬかな」
 若松屋惣七が、ちらと眼をいたずらめかしてそういうと、お高は、袂を顔へ持って行って笑うのだ。
「そんなことをおっしゃっても、わたくしのもののようで、まだわたくしのものではございませんもの。母の代からの世話人で深川の木場の甚という人が預かっていてくれるのでございます」
 それから二人は、まだ長いあいだ、磯五のことなど話し合って、肩をならべて寮の母屋《おもや》のほうへ引っ返して来た。若松屋惣七は、ふたりの将来について、何かいいたそうにして何もいわないのだ。お高のからだのぐあいをききかけて、それも若松屋惣七は黙りこんだ。二人とも、もう磯五とは関係がないと思っているので、そのことでは気が軽かった。
 若
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