自分を妹に仕立てて、おせい様をだましていたことを打ちあけるとおどかすと、磯五が平気で、おせい様とのあいだはもうこわれてしまっているから、そんなことはどうでもいいというので、お駒ちゃんは、泣き出した。

      三

 お駒ちゃんはうれし泣きに、泪《なみだ》を流しているのだ。梅舎錦之助のことなどはけろりと忘れて、磯五がおせい様と別れれば、あとは自由に、自分といつかの約束どおりにいっしょになれるだろうというのだ。いつ晴れて夫婦になってくれるかとお駒ちゃんは、磯五にきいた。磯五は、笑い出していた。
「お駒ちゃん、おめえはいってえ何をいっているのだ」
「まあ! この人は。あれほどはっきり何度も何度も約束したくせに。その約束で、こういうことになったんじゃないか。まさかお前さんは、今になって白《しら》を切るつもりじゃあないだろうねえ」
 お駒ちゃんは、とっさに悲しみに沈んでいた。その悲しみは、女として真剣なものだったので、お駒ちゃんは、急に崇高に見えてきた。磯五は、お駒ちゃんの蒼い顔と、おろおろと開かれた両眼に見入って、そこに避けられない近い将来の紛擾《ふんじょう》を読み取っていた。そして、女
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