と、今でも草むらの中に小さな祠《ほこら》があって、はじめはここに祀《まつ》ってあった。そばに、里人が三用の井戸と呼ぶ井戸があって、この神様が出現ましましたとき、井戸のおもてに星かげが映ったとある。そこで、鬼子母神を念ずれば、諸願円満なるこというに及ばず、なかんずく赤児《あかご》を守り、乳の出ない婦人が祈るとことのほか霊応いちじるしい。
お高は、赤児と乳のことを思って、それを専念にお願い申してから、疱瘡《ほうそう》の守護神となっている鷲大明神《おおとりだいみょうじん》を拝んだ。子供が生まれて、乳の出がたっぷり[#「たっぷり」に傍点]あっても、疱瘡が重くては大変であるとお高は思った。で、まんべんなく気を凝らして祈って、鬼子母神さまの雑沓をのがれて九老僧のほうへ曲がって行った。
一空さまがつけ手紙をくれた庄之助さんをたずねて水でも飲ましてもらおうと思ってだった。
三
庄之助さんは、元気な老寄《としよ》りであった。つれあいのお婆《ばあ》さんもいい人であった。一空さまの噂《うわさ》が出たりして二人は、土間から上がって休んだ。
お高は爐ばたにすわって、庄之助さんの入れてくれ
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