は底本では「しもじん」]に、講中のための一年一度の内拝のある日であった。お高は、これへ行ってみたかった。
佐吉はさしつかえがあったので、こんどは国平をつれて行くことにした。一空さまはその後たびたび話しに来て、この鬼子母神参りのことが出たら、それは気が晴れてよいからぜひ行くようにといった。そして、近くの九老僧《くろうそう》のそばに住んでいる、庄之助《しょうのすけ》さんという相識《しりあい》の百姓を教えてくれて、そこへ寄ってゆっくり休むようにと、添書までつけてくれた。
相良寛十郎と母のおゆうとおゆうの財産の行方については、二人とも、もうあまり話をしないようにしていた。いくら話し合っても、わかることではないからだった。ただ、お高が父として知っている相良寛十郎と、一空さまがおゆうの良人として識っている相良寛十郎とは、同じ名前であっても、全然別人であることだけは確かだった。それは、外貌《がいぽう》だけではなく、性格もすっかり違っていると、お高は思っていた。
一空さまは、一空さまで、考えがあるらしかった。お高には、互いに知らない兄弟があるに相違ない。それを探し出そうというのが、一空さまの肚《
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