ょうまち》の勘《かん》だとよ」
「なに、鷹匠町の勘か。道理でやりやがると思った」
「勘の畜生か。ちっ、ますます生かしちゃおけねえ」
お高は、そういう荒あらしいことばを聞きながら、思った。鷹匠町というのは、これからうぐいす谷《だに》へ出て、松平讃岐守《まつだいらさぬきのかみ》さまのお下屋敷を迂回《うかい》して裏手へまわったそのへん一円の、御家人などの多く住んでいる一区劃であった。
小石川はいったい寺や武家やしきが主《おも》なので、祭礼などといっても、下町ほどに乗り気にはならないのだが、それでも、お鉄砲ぐらの手前の水道町に、金杉稲荷《かなすぎいなり》がある。別当を玄性院《げんしょういん》といって、尊敬するもの多く、いつも縁日が栄える。その近くの牛天神《うしてんじん》金杉天神《かなすぎてんじん》ともいって、別当は、泉松山《せんしょうざん》龍門寺《りゅうもんじ》、菅神みずから当社の御神体を彫造したまうとある。頼朝卿《よりともきょう》東国追討のみぎり、この地にいたり、不思議の霊夢をこうむる。元暦《げんれき》元年|甲辰《こうしん》勧請《かんじょう》。
また、指《さす》ヶ|谷《や》町にある白山
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