った。帯刀の金の飾りが、ちらちらときらめいていた。
「お女中、御同様とんだ難儀だの」
と、いった。そして、向こう側の、供らしい仲間《ちゅうげん》をかえりみて、笑った。お高は、気がついて、あわてて手を引っこめた。その士《ひと》は、用たしの帰りにでもこの騒擾《そうじょう》にまきこまれたらしく、かえりを急ぐとみえて、いらいらしていた。仲間は、手の、定紋入りの提燈《ちょうちん》をこわすまいとかばって、骨を折っていた。何かいって笑ったが、お高には聞こえなかった。
まだ少年々々している武士の顔が、またお高のほうを向いた。
「手を放すには及ばぬ。しっかりつかまっているがよい。総じて、かような場合には、人の力にさかろうてはなりませぬ。流れに乗った気で、水のごとく、人の押すほうへ押されてゆくのだ」
あはははと笑った。お高は、気やすなお武家だとは思ったが、それかといって、さようでございますかと甘えて、また手を出して腕へつかまることはできなかった。はい、とこたえたつもりだったが、答えたのか答えなかったのか、自分でもわからなかった。彼女は、そこに人にはさまれて立ったまま、気をうしないかけていた。ただ、一
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