道ばたに立ちならんでいた。一空さまは、彼らと顔が合うと、大声に笑って、二人の女をまもるようにして歩いて行った。
「餓鬼どもは、事なく通ったろうな」
「ええ。子供ははしっこいから、駈け抜けたでございましょうよ」
 そこは、和泉屋の前であった。
 多勢で大戸をおろす音が、戦争か何ぞのようにあわただしく聞こえていた。と思うと、一時に恐ろしい叫喚が生まれて、あっというまに、非常な力で、群衆が和泉屋へ殺到しだしたのだ。
 それに押されて、お高は、骨が折れるかと思ったとき、つれのふたりが、人ごみに呑まれ去っているのを知った。


    群集


      一

 それは、海の面《も》を風が渡るような速さだ。動乱する人の渦にまきこまれて、一空和尚と、その洗耳房の小母さんと呼ばれている、学童たちの世話をするお由さんとは、すぐに底に没してしまっていた。お高は、和泉屋の店頭《みせさき》へ雪崩れかかる人浪と、それをくいとめようとする火消しや、鳶のあいだにはさまれて、椿《つばき》の花が散り惑うようにほらほらと立ち迷った。口ぐちにわめく声が、地うなりのようにお高を包んだ。
「この金剛寺門前町を他町の者に荒ら
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