ますもの」
「しかし、この、昔からの金剛寺門前町の商人を、見殺しにするということもできんでの」
「それもそうですけれど、でも、わけのわからないならずもののような人を狩り集めて、通る人に迷惑をかけたりしては、せっかく味方についていた者まで、いやになりますでございますよ」
「とにかく、乱暴を働くのは、間違っておる」
「そんなことを大きな声でおっしゃると聞こえますよ」
 話しながら、人を分けて歩いて行った。それはもう文字どおり、かき分けなければならないほどの人ごみになっていた。夕やみの落ちてくる街上に、赤く逆上した顔が、浪《なみ》のようにもみ合いへし[#「へし」に傍点]あいして、押し返していた。あわただしい叫び声が、そこにもここにも揚がった。その中を、男伊達《おとこだて》風の連中が、隊を組んでねり歩いていた。
 いつのまにか、ぎっしり往来をうずめて、身うごきもならない人出だ。みんな血走った眼をして、顔じゅうを口にしてわめいているのだ。近くの武家屋敷から警備に出た仲間《ちゅうげん》たちや、御用火消しなどのいかめしい姿が、人浪のあいだにちらほら見えていた。金剛寺の若い学僧たちも、肩をいからして、
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