計を思い出して、また妙に胸がはためいた。
「龍造寺様でございますか。あの方でしたら、東海道の掛川のほうへおいでになりましてございますよ」
「発《た》ったあととあっては、よんどころない。あの金で、餓鬼《がき》どものためにいいものをこしらえてやったので、見てやってもらおうと思ったのじゃが」一空さまは、残念そうな顔をした。「いや、あんたがわしのところを教えたのだそうじゃから、あんたでも同じことだ。全く、ありがたい喜捨であった。あらためて、礼をいう」
一空さまは、ひとりでつづけた。
「あの金で、洗耳房を建て増ししてな、餓鬼どもの遊び部屋に当てごうたのじゃ」
餓鬼ども餓鬼どもと一空さまがいうのは、洗耳房へあつまってくる学童たちのことであった。学童たちは七、八つから十五、六の男女のこどもであった。おもに近所の子供らで、武士の子も、町人の子も、職人の児《こ》もあった。一空さまにとって、そういう区別はないのであった。
「きまった遊び場がないと、寺内でふざけまわってどうもそこここを汚損し、庭に出ては木石をいためるので本院の番僧はじめほかの房から苦情が出てかなわん。というて、往来《まち》で遊ばせるのは
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