隠そうとしなかった。
「あわれな女でな、いつもひとりで、屋敷にくすぶっておる。気散じに話し合う友達をつくってやりたいと思うのだ。龍口寺まいりにも、加えてやりたいと思うが、どうであろう」
「結構でございましょう」
それきり歌子は、ぽつんと黙りこんだ。
「しかし」若松屋惣七が、いっていた。「どこまでも、女の雇い人であってみれば、わしから供を申しつけるというわけには参らぬ。ここはひとつ、お前から出たことにして、どうだ、誘ってみてはくれぬか」
「結構でございましょう」
「では、承知してくれたな」
「なぜそんなにおつれになりたいのでございます」
「保養をさせてやりたいのじゃ」
「まあ、親切な! ほんとに、親切なお主ですねえ」
「妙に思うかもしれんがあの女については、いずれお前にも話すが、いろいろ事情がある」
「そうでございましょうとも。いろいろ御事情がおありでしょうとも。あなたは、あのお高さんがお好きなんでしょう?」
「心のいい女だ。お前にも、決して迷惑をかけるようなことはない。心配せんでもいい」
「それはよくわかっております。そんな心配は致しません。でも、ずいぶんお気に入りのようですねえ」
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