におひとりで出歩いて、およろしいのですか」
「用があって、参った」
二
「はい。どういう御用でございましょう」
若松屋惣七は、ちょっと切り出しにくそうにした。相手が、あんまり事務的だからだ。若松屋惣七は、まぶしそうな眼を、歌子のほうへ上げた。
「女をひとりつれて参るが、会ってやってくれぬか」
「女の方――ええ、おあいしますとも」が、歌子はすこし不思議そうな顔をした。「でも、どういう方でございます」
「可哀そうな女なのだ。今後いろいろ、相談に乗ってやってもらいたい」
「それはもう、わたくしできますことなら、何でも――どなたでございます」
「うちの女番頭である」
「すると、あの、お高さんとかいう――」
「そうだ」
歌子の額部《ひたい》を、迷惑そうな色が走り過ぎた。彼女は、お高をよく識《し》っているわけでない。いや、よく識らないからこそ、この独身の従兄《いとこ》の家《うち》へ女番頭として住みこんでいるということだけで、お高を、何か色じかけのわる者かなんぞのように、気をまわして考えているところがあるのである。
若松屋惣七にははっきり見えないから、歌子は安心して、いやな顔を
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