勝手に突っ走って、二年も梨《なし》のつぶてとは、それですむと思っているのか」
 お駒ちゃんは、歩いている足もとを見て、微笑した。
「そんなことは、知っていますよ。それだって、父娘《おやこ》の仲だもの、あたいが父《おや》にお礼をいわなくっちゃならないってわけも、なかろうじゃないか。はいはい、苦労をかけてすみませんでしたよ。おわびをしますよ」
「ちっ、何てえいい草だ――」
「だって、お父つぁんもむりじゃあないか。あたいはこの二年間、何とかして身すぎをするのに精いっぱいだったんだからね」
「おめえの辛苦は、心柄というものだ。それより、肝腎《かんじん》のおれのきいたことに返答をするがいい。家を出てから、何をしていたのだ。ちょっと顔出しをするとか、せめていどころぐれえは知らせてもよかりそうなものじゃあねえか。何だってまたわれから家を追ん出たんだ」

      二

「うちにいたんじゃあしたいようにできないからさ。おんな歌舞伎《かぶき》のほうに出ていたんだよ」
「やれやれ、あきれたもんだ。おいらも、河原者を娘に持とうたあ思わなかった。こちとらあしが[#「しが」に傍点]ねえ稼業《かぎょう》には相違
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