て帰ってしまって[#「帰ってしまって」はママ]、じぶんは、眼立たないように路地に立って、父の久助の出て来るのを待っていたのだった。
向こうから三人づれの侍《さむらい》が来たので、父娘は道の端によけて通った。三人の足音がうしろのやみに消えてしまうのを待って、久助が、低い早ぐちでいった。
「お駒、父に得心のいくように話してくれ。おめえはさっきおれに、あんなところで何をしているときいたがおれこそ、それをおめえにききてえのだ。あの美男《いろおとこ》の妹などと触れ込みやがって、いずれまたろくでもねえ芝居をたくらんでいるのだろう。いいやそれにちげえねえ。
考えてもみるがいい。どこの世界に、おのが娘にへいつくばって給仕をする父親《てておや》があるものか。お駒さまが寒気がなさるから熱燗を持ってこいもねえものだ。おめえは主人の客、おいらは奉公人、しかたがねえからばつを合わせてへいこら[#「へいこら」に傍点]仕えてるようなものの、実の親を使い立てしやあがって、罰当たりにもほどがあらあ」
「知らずに行ったら、出て来た変わり者の板さんというのがお父つぁんだったんだから、わたしも驚いたけれど、ああするよりほ
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