。
「妹だが、ちとからだが弱いんでな、騒がせてすまなかった」
「それはいけませんね」
久助はそういって、何かにやにやしながら手をもんだ。
四
高音というものが現に生きている以上、じぶんに妻のあることを、おせい様にも、そうそう隠してはおけまいと磯五は思った。おせい様は、高音からも若松屋惣七からも、そこまではいわれて、半信半疑でいるはずなのだ。そして、いつかは何らかの形ではっきり知れることとすれば、他人の口からわからせるよりも、いまのうちに自分が打ちあけたほうがおせい様も気をよくするだろうと思った。
どうせ磯五は、はじめから夫婦になる気はないのだし、夫婦になれないとわかっても、おせい様から金を引き出すほうには、いっこうさしさわりないと考えているのだから、いっそ今夜話してしまおうと思った。
ただ、あの若松屋の女番頭のお高というのがそれだと知れると、すこし細工がまずくなるのだけれど、お高はじぶんでいいっこないし、若松屋惣七という盲人《めくら》はお高を想っているのだから、このことは、あいつからももれる心配はあるまい。
磯五は、男女のことにかけては、いつも眼を大きくあけて
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