のお駒ちゃんをも、気の毒に思うのだった。黙って磯五を見上げた。
 磯五が、いった。
「きょうは店が忙しかったので、お駒ちゃんはくたびれているのですよ。なあ、お駒ちゃん、おせい様もせっかくああいってくださるんだから、先に失礼したらいいじゃないか。駕籠をそういってもらうから、支度をしなさい。わたしが、そこまで送って出て、駕籠へ乗せてあげる」
 おせい様と二人きりになりたかったので、磯五がそういうと、お駒ちゃんはおとなしく帰る支度に立った。おせい様と磯五と、婢《おんな》たちが戸口まで送って出た。お駒ちゃんはいつになくしんみりしていて、おせい様にも丁寧に別れの挨拶をした。ついぞないことなので、磯五は、そういうお駒ちゃんを不思議そうに見ていた。おせい様も、何だか勝手が違って、まごまごしていた。
 磯五が往来《そと》までいっしょに出て、お駒ちゃんを駕籠へ乗せた。駕籠は、もう呼ばれて来て、ふたりの駕籠かきが、息杖《いきづえ》を突いて待っていた。久助が格子《こうし》をあけたまま、小腰をかがめて見送っていた。お駒ちゃんを送り返して、引っかえしてくると、磯五は久助の横を通って家《うち》へはいりながら笑った
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