って特別に入れさせているおせい様の煙草《たばこ》から、一服借りて、ゆたかなけむりを吐いていた。その、色のいい気体の行方をぼんやり眼で追っていた。煙は、光線《ひかり》の届いているところでは紫に見えるし、天井へ近づくと白く見える。
磯五はそれをひどく不思議なことのように思って、吹いてはながめ、吹いてはながめ、同じことをくり返していた。すこし酔っていた。
久助がはいって来て、残りの物を持ってさがって行こうとした。磯五が呼びとめた。
「おとっつぁんはいい腕だね。名は何というのかね」
「久助と申します」
「お、そうそう。久助、久助。そこで久助、おせい様から話してあるだろうと思うが、おれはおせい様と近いうちにいっしょになることになっている。まあ、主人同様にしてもらおう」
鷹揚《おうよう》にそって、磯五は久助を見た。おせい様の家のものなら、猫とでも仲よくしておいていいのだ。ことにこの久助というおやじは、見たところ一癖ありそうなやつだから、こうして探りを入れて、味方にしておく必要があると思った。はじめから主人同様といい渡しておけば、どんな勝手なことでもできて、都合がいいのだ。久助は、そういう磯五
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