う待っていなさるに相違ねえ。おれも、今夜は何だか気がすすまねえのだが、せっかく招ばれたのに、そろって行かねえと、おせい様が気をわるくするかもしれない。いまおせい様の心もちを損じてならねえことは、おめえも承知のはずじゃあねえか」
それから、まもなく、磯五とお駒ちゃんは、外出着《よそゆき》にきかえて、駕籠《かご》にゆられて下谷の拝領町屋へ出かけて行った。拝領町屋の雑賀屋の寮には、おせい様が、すっかり膳部のしたくをととのえて、今くるか、いま来るかと、いらいらして待っていた。そこへ、磯五とお駒ちゃんが乗りこんで行くと、おせい様は、
「おいでくださらないのかと思いましたよ」
と、恨むようにいって、さっそく二人を奥の座敷へ案内した。そこには、燭台に灯がはいって、もう配膳するばっかりになっていた。おせい様は、得意げに、磯五を見ていった。
「いつかお話ししましたよねえ。あたらしい料理人《いたば》が来て、そのおじいさんは、お料理からお客のほうまで、一人でしないと気に入らないといった――久助《きゅうすけ》というのですよ。ひとつ手腕《うで》を見てやってくださいよ」
縞の着物に、雑賀屋のしるし半纒《ばん
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