、女房のあることなんか、今のいままで隠しときやがって――こんなになったあたしを、どうしてくれるつもりだい。おせい様からお金さえとれば、そしてそのために、あたしが妹の面をかぶっていれば、いずれ晴れて女房にして、この家《うち》に入れるからなんていったのは、いったい何の口だい。
 あたしゃだまされていたんだよ。お前さんは、女という女を、片っぱしからだましてまわるのが、稼業《しょうばい》なんだねえ。くやしいのを通りこして、あいた口がふさがらないよ。でも、あたしゃ因果とお前さんが好きでねえ、踏まれても蹴られても、くっついてゆこうと思っているんだよ」
 お駒ちゃんは、なみだに洗われた顔を見せた。そこには、めずらしく真剣なものがみなぎっていた。お駒ちゃんは、からだのどこかに痛いところでもあるように、歯をくいしばって、肩を前後にゆすぶっていた。磯五が、そばにしゃがんで、お駒ちゃんの肩に手をかけて、しずめようとした。
「お駒ちゃん、じっとして、おれのいうことを聞きな」
 例の油っこい声なので、それは、お駒ちゃんのみならず、女のうえには、不思議な力を投げるものとみえる。お駒ちゃんは泣きやんで、小娘のように
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